昔あるところに貧しい農民の夫婦がおり、夜な夜な人の言葉を話すコオロギに悩まされていた。コオロギの助言に従って妻がそれを食べると、跳躍力と鳴き声を持つ男の子「コロロッチョ」が生まれた。彼は成長するとその特異な力で人々をからかい、王様の馬車を驚かせた罪で牢屋に入れられる。牢屋でも鳴き続ける彼を王が処刑しようとするが、斧は彼の首を傷つけることができず、脱出して王宮の屋根から鳴き続けた。騒音に耐えかねた王が地位を与えようとすると、コロロッチョは王子になることと王女を要求し、自分の王冠は母のベッドの下にあると主張する。王が妥協して結婚を承諾するも、今度はコロロッチョが拒絶して姿を消してしまう。彼に恋焦がれた王女は自ら彼を探し出し、指示されるままに母のベッドの下を掘り続けるが、過労により息絶えてしまう。コロロッチョが自ら地面を掘って眩い王冠を取り出し両親に捧げると、彼の体は徐々に縮んで元の黒いコオロギの姿に戻り、両親に別れを告げてどこかへと去っていった。
役割主人公
言葉を話すコオロギを食べた農夫の妻から生まれた男の子。コオロギのような跳躍力と鳴き声を併せ持ち、王や権力者をからかい翻弄するが、最後は元の虫の姿に戻っていく。
役割家族
貧しい農民でコロロッチョの父親。奇妙な息子の振る舞いに対して「コオロギは生まれ、やがて死にゆく」と諦観の言葉を繰り返す。
役割家族・触媒
貧しい農民でコロロッチョの母親。言葉を話すコオロギの助言を信じてそれを食べ、異形の息子を産み、常にその身を案じている。
役割敵役
絶対的な権力を持つ国王。コロロッチョの鳴き声に腹を立てて処刑を命じるが失敗し、彼の引き起こす騒音に屈して妥協を図ろうとする。
役割恋愛対象・犠牲者
国王の娘。コロロッチョの不思議な魅力に取り憑かれて恋い焦がれ、彼が要求した王冠を掘り出すために過労で命を落としてしまう。
貧しい農民の夫婦
息子と母親
恋い焦がれ、結婚できなければ死んでしまうと思い詰める
処刑を命じるが、不死身の体と騒音に翻弄される
父親と娘
時代背景
昔
場所
貧しい夫婦のあばら屋、および王宮周辺
国
イタリア
- コオロギの化身である特異な存在が権力者を翻弄する滑稽さと不条理
- 異質な存在への恐れと執着が招く悲劇的な結末
- 貧困と絶対的権力という対極の階級構造の逆転劇