浮雲

二葉亭 四迷

青空文庫で読む
明治東京日本小説
自我・正体愛・恋愛孤独・疎外階級・貧富
あらすじ

真面目で不器用な青年・内海文三は、役所を突然免職されてしまう。文三は同居している叔母のお政の娘・お勢に密かに恋心を抱いており、お勢もまた文三に好意を寄せていた。しかし、文三が免職の事実を打ち明けると、打算的なお政の態度は豹変し、文三を冷遇し始める。一方、要領よく上司に取り入って出世する同僚の本田昇が園田家に出入りするようになり、軽薄でお調子者のお勢の心は次第に本田へと傾いていく。文三は本田の無礼な振る舞いに憤り、お勢の心変わりを疑って懊悩するが、持ち前の優柔不断さから決定的な行動に出ることができない。家の中で孤立を深め、嫉妬と猜疑心に苛まれながらも、文三はお勢の本心を確かめようと思い悩む日々を送る。

登場人物6
内海文三うつみ ぶんぞう
没落者
男性23元・某省准判任御用係武士

役割主人公

真面目で学識はあるが、不器用で上司に媚びず免職される。お勢に恋心を抱いているが、優柔不断で嫉妬と猜疑心に苦しむ。

お勢おせい
偽善者
女性18無職武士

役割恋愛対象・触媒

文三の従妹。束髪にし英語を学ぶなど新しい時代の女性を気取るが、本質は軽薄で移り気。文三から本田へと関心が移っていく。

お政おまさ
支配者
女性40主婦武士

役割敵役・家族

お勢の母で文三の叔母。打算的で世俗的な性格。文三が免職されると掌を返して冷たく当たり、出世する本田を歓迎する。

本田昇ほんだ のぼる
悪党
男性25某省の属吏官僚

役割敵役・対照キャラ・恋愛対象

文三の同僚。要領が良く上司に取り入って出世する。文三を見下し、お勢に巧みに接近して文三を挑発する。

いさむ
凡人
男性14学生武士

役割家族・脇役

お勢の弟。理屈っぽく生意気な少年。

お鍋おなべ
道化
女性下女労働者

役割脇役

園田家の使用人。無邪気で空気が読めず、しばしば滑稽な言動で場を和ませたり掻き乱したりする。

人物相関4
内海文三お勢恋愛

密かに恋い慕う従妹だが、免職後に冷淡な態度をとられる

お政内海文三家族

甥。免職を機に冷遇し、家から追い出そうとする

本田昇内海文三同僚

出世頭の同僚。文三を見下し、恋敵として挑発する

本田昇お勢恋愛

巧みに接近し、遊び半分で誘惑する

舞台

時代背景

明治時代前期

場所

東京・神田から小川町周辺、団子坂など

日本

テーマ
  • 近代化する社会における自我の目覚めと現実との葛藤
  • 立身出世主義や拝金主義に対する批判
  • 人間の心理の機微、特に嫉妬や自意識過剰による内面の苦悩
  • 古い価値観と新しい西洋思想の間で揺れ動く若者たち
キーワード
免職束髪英語官員下宿菊見団子坂同権論者