東京の下町で出稼ぎ労働者の辰公が、ラジオ屋の前で演芸放送を立ち聞きしている最中に、長屋の火事を発見する。焼け跡からは、料理人である勝次郎の妻・お時が、首に手ぬぐいを巻き付けた半死半生の姿で発見され、まもなく死亡する。勝次郎は女癖が悪く、直前に妻と激しい喧嘩をして家を出ていた上に妻に生命保険をかけていたため、井澤警察署長は彼を絞殺と放火の犯人と断定し厳しく追及する。しかし、現場を訪れた若き山井検事は、死体の肌が鮮紅色であることや手ぬぐいの食い込み方、吸入器の破片などの証拠から、お時が風邪の治療中にヒステリーを起こして自ら火を出し、一酸化炭素中毒で死亡した過失死であると推理する。さらに、辰公が火事発見時に聴いていたラジオの長唄「越後獅子」の進行具合と、勝次郎が別の店でラジオを聴き始めたタイミングを蓄音機のレコードで照合した結果、正確な時刻のアリバイが証明され、勝次郎の無実が明らかになる。
役割語り手・触媒
越後から東京に出稼ぎに来ているコンクリート穴屋の職工。ラジオの立ち聞き中に火事を発見し、重要な証言者となる。
役割脇役・その他
腕は立つが女癖が悪く、職を転々とする板前。妻との激しい喧嘩の直後に火事が起きたため、妻殺しの容疑をかけられる。
役割犠牲者
勝次郎の妻。夫の浮気に嫉妬してヒステリーを起こしやすく、風邪の治療中に誤って火事を起こし、命を落とす。
役割主人公・師匠・導き手
平凡な外見だが、鋭い観察眼と法医学の知識を持つ青年検事。科学的推論を用いて事件の真相を解き明かす。
役割対照キャラ・脇役
経験豊富だが先入観に囚われやすい警察署長。状況証拠から勝次郎を犯人だと決めつけ、山井検事と対立する。
夫婦だが喧嘩が絶えず、愛憎入り混じる関係
事件の捜査において見解が対立する
時代背景
大正時代末期
場所
東京の下町(浅草や芝周辺)
国
日本
- 先入観に囚われない科学的かつ論理的な捜査の重要性
- アリバイ証明におけるラジオ放送の役割と時間の正確性
- 貧しい下町の人々の生活と夫婦の愛憎劇