小曲

橋本 五郎

青空文庫で読む
昭和前期日本小説
孤独・疎外自然・風土
あらすじ

ひどい暴風雨の夜、郊外の広い屋敷で一人留守番をしていた田中君は、外から女の悲鳴のような音や男の怒声、何かがぶつかる激しい物音を聞く。彼は外で殺人事件が起きたのだと思い込み、恐怖に震えながら夜を明かした。翌朝、田中君は事件の痕跡を探して屋敷の周囲を調べ、怪しい噂のある向かいの屋敷の主人を犯人だと疑って一人で監視を続ける。しかし昼近くになって、屋敷の前を通りかかった半纏着の男たちの会話から真相が判明する。昨夜の恐ろしい物音と声は、悪天候の中で溝の穴に落ちた馬車を動かそうと、男が馬を鞭打って怒鳴りつけていただけであった。すべてが自身の馬鹿馬鹿しい勘違いであったことに田中君は気づく。

登場人物3
田中君たなかくん
道化
男性

役割主人公

郊外の広い屋敷で一人で留守番をしている青年。暴風雨の夜に外から聞こえた音を殺人事件だと勘違いし、一人で恐怖と推理を膨らませる。

向いの屋敷の主人むかいのやしきのしゅじん
凡人
男性富裕層

役割脇役

田中君の家の向かいにある屋敷の年配の主人。過去に上海にいたという噂があり、田中君から勝手に殺人犯だと疑われる。

半纏着の男はんてんぎのおとこ
凡人
男性馬車引き労働者

役割触媒

昨夜の騒動の当事者。暴風雨の中で車輪が穴に落ち、動かなくなった馬を鞭打って怒鳴りつけていた。

人物相関1
田中君向いの屋敷の主人対立

田中君が一方的に殺人事件の犯人だと疑い、監視する対象

舞台

時代背景

昭和初期の暴風雨の夜から翌朝にかけて

場所

郊外の屋敷とその周辺

日本

テーマ
  • 恐怖心が生み出す妄想
  • 日常に潜む非日常への期待
  • 早とちりと滑稽さ
キーワード
暴風雨留守居悲鳴殺人勘違い