たけくらべ

樋口 一葉

青空文庫で読む
明治東京日本小説
成長・変化愛・恋愛運命・宿命階級・貧富
あらすじ

吉原遊廓のそばである大音寺前界隈には、遊女を姉に持つ活発な少女・美登利、僧侶を目指す秀才の信如、高利貸の孫・正太郎、乱暴者の長吉といった子供たちが暮らしていた。美登利は気前よく振る舞い、子供たちの中心的な存在であった。八月の千束神社の祭りの夜、長吉率いる横町組が、対立する正太郎の表町組に乱入し、正太郎をかばった三五郎が殴られ、美登利も泥草履を投げつけられる事件が起きる。美登利は、長吉の後ろ盾が信如であると思い込み彼に激しく反発する。一方の信如も、内心では美登利を意識しながらも冷たい態度をとっていた。秋の雨の日、信如は大黒屋の寮の前で下駄の鼻緒を切って立ち往生する。美登利は布切れを投げて助けようとするが、意地と恥ずかしさから互いに声をかけられずにすれ違う。やがて酉の市の日、美登利は大人びた島田髷を結わされ、急に子供の遊びから距離を置くようになる。遊女としての将来を悟った彼女は無邪気さを失い、正太郎の誘いにも恥じらって応じなくなった。ある霜の朝、美登利の家の門外に誰が置いたか水仙の造花が残されていた。その翌日、信如は僧侶の修行のため学林へと旅立っていくのだった。

登場人物5
美登利みどり
犠牲者
女性14学生労働者

役割主人公

吉原の妓楼・大黒屋で全盛を誇る遊女を姉に持つ少女。活発で気前が良く子供たちの女王的な存在だが、やがて大人の女性へと成長し、遊女となる運命に直面する。

藤本信如ふじもとしんにょ
求道者
男性15学生宗教家

役割主人公・恋愛対象・対照キャラ

龍華寺の息子で、学校一の秀才。真面目で内向的な性格であり、美登利を意識するあまりそっけない態度をとってしまう不器用な少年。

正太郎しょうたろう
守護者
男性13学生商人

役割脇役・協力者・恋愛対象

表町の高利貸・田中屋の孫。愛嬌があり誰からも好かれる性格で、美登利に好意を寄せ、遊び仲間や年下の友人の面倒見も良い。

長吉ちょうきち
反逆者
男性16学生労働者

役割敵役・触媒

横町組のガキ大将で、鳶の頭の息子。表町の正太郎たちに強い対抗意識を燃やし、祭りの夜に暴力を振るうなど乱暴な振る舞いをする。

三五郎さんごろう
道化
男性13労働者労働者

役割脇役

貧しい車屋の息子。滑稽で愛嬌のある性格で憎めない存在だが、横町組と表町組の喧嘩の巻き添えになり暴行を受けてしまう。

人物相関6
美登利藤本信如恋愛

互いに意識し合いながらも、意地を張って反発してしまう淡い恋心

正太郎美登利恋愛

美登利を慕い、優しく寄り添おうとする好意

長吉正太郎対立

表町と横町の勢力争いにおける敵対関係

長吉藤本信如友人

同じ横町側として信如の知恵や後盾を頼りにする

正太郎三五郎友人

遊び仲間であり、仕事を手伝わせたり面倒を見たりする関係

長吉三五郎対立

祭りの夜に正太郎の身代わりとして暴行を加える

舞台

時代背景

明治時代

場所

東京・吉原周辺(大音寺前、千束町など)

日本

テーマ
  • 思春期の訪れと無邪気な子供時代からの卒業
  • 吉原という特殊な環境で育つ子供たちの将来と運命
  • 素直になれない少年少女のすれ違う淡い恋心
キーワード
大音寺前大黒屋龍華寺横町組表町組千束神社酉の市幻灯水仙の作り花