鳥料理

堀 辰雄

青空文庫で読む
昭和前期架空・異界日本小説
怪異・幻想美・芸術自我・正体
あらすじ

「私」は、夢の中で得た構想を作品にすることの難しさを感じつつ、雑誌の原稿を書くために意図的に夢を見ようと眠りにつく。目覚めた「私」は、記憶に残っている夢の断片に想像を交えて物語を書き留め始める。第一の夢「奇妙な店」では、香炉を背負った象の行列を見た後、強い匂いが漂う無人のガラス張りの温室に入る。そこが阿片窟であり、何らかの惨劇が起きた直後だと推測したところで夢が途切れる。第二の夢「鳥料理」では、街ですれ違った少女の後を追い、暗い裏通りの怪しげなホテルへと足を踏み入れる。そこには魔法使いのような老婆がおり、奇怪な鳥料理を出される。「私」は、棚に置かれた葡萄酒の瓶の中に少女が姿を変えられて閉じ込められていると直感する。老婆との格闘の末に瓶を奪い取った「私」は、少女を味わうようにその葡萄酒を飲み干す。「私」は、現実世界の自分は夢の中のように大胆に行動できないと省みる。

登場人物3
わたし
求道者
男性詩人知識人

役割主人公・語り手

夢の中で得たインスピレーションをもとに詩や小説を書こうとする詩人。現実の世界では臆病だが、夢の中では大胆な行動をとる。

少女しょうじょ
犠牲者
女性

役割触媒・犠牲者

夢の中で「私」に合図を送り、怪しげなホテルへ導く少女。老婆の魔法で葡萄酒に変えられてしまったと「私」に推測される。

老婆ろうば
悪党
女性ホテルの主

役割敵役

怪しげなホテルで奇妙な鳥料理を出す醜悪な人物。魔法使いのような存在で、葡萄酒の瓶を巡って「私」と格闘する。

人物相関2
少女恋愛

街で見かけ、その魅力と神秘性に惹かれて後を追う対象

老婆対立

少女を葡萄酒に変えた魔女だと疑い、瓶を奪うために格闘する

舞台

時代背景

昭和初期(現実)および夢の中

場所

現実の自室、夢の中の奇妙な店、および怪しげなホテル

日本

テーマ
  • 夢の記憶を物語や芸術作品として定着させることの困難さ
  • 夢の中の自由で大胆な自己と、現実での臆病な自己との落差
キーワード
阿片窟ホテル鳥料理魔法使い葡萄酒