「可愛い女 犬を連れた奥さん 他一編」あとがき

神西 清

青空文庫で読む
明治海外ロシア・ソビエト小説
美・芸術死・無常成長・変化孤独・疎外
あらすじ

1898年から翌年にかけて、38歳を迎えた作家チェーホフは胸の病が悪化し、医師の勧めで南欧を旅したのち、南ロシアのヤールタに定住する。多産な小説家としての経歴を閉じ、戯曲の世界へと筆を移そうとするこの時期、彼の暗鬱な精神の内部には未来への微かな希望の光が差し始めていた。1898年に発表された『ヨーヌィチ』では小市民生活の泥沼が暗鬱に描かれる。同年末に脱稿された『可愛い女』は、自らと相手を幸福にする可憐な女性オーリャの姿が描かれ、文豪トルストイが四度も朗読して絶賛する。さらに1899年に脱稿した『犬を連れた奥さん』は度重なる推敲を経て完成し、その深い気分と芸術的特徴によって若きゴーリキイから称賛を受ける。チェーホフの年齢的・肉体的な変化は、彼の世界観の推移としてこれらの作品群に色濃く反映されていく。

登場人物4
チェーホフちぇーほふ
求道者
男性38小説家、劇作家知識人

役割主人公

胸の病を抱えながら南欧やヤールタで療養生活を送り、晩年の境地へと移りゆくロシアの作家。暗鬱な精神の中に未来への微かな希望を見出し、傑作を生み出していく。

トルストイとるすとい
知者
男性作家知識人

役割脇役・協力者

チェーホフの『可愛い女』を絶賛し、四度も連続して朗読したというロシアの文豪。

オーリャおーりゃ
守護者
女性

役割脇役・触媒

チェーホフの作品『可愛い女』に登場する女性。自らと相手を幸福にする永遠の典型としてトルストイに称えられた。

ゴーリキイごーりきい
知者
男性作家知識人

役割脇役

若き日にチェーホフの『犬を連れた奥さん』を読み、リアリズムの到達点として深く感嘆した作家。

人物相関2
トルストイチェーホフ同僚

チェーホフの作品を高く評価し絶賛する同業の文豪

ゴーリキイチェーホフ同僚

チェーホフの作品の芸術的深さに感嘆した同業の若き作家

舞台

時代背景

1898年から1899年にかけて(チェーホフの晩年期)

場所

南ロシアのヤールタ、南欧

ロシア

テーマ
  • 病による肉体的衰弱と精神的な変化
  • 暗鬱な精神状態の中に芽生える微かな希望と世界観の推移
  • 文学作品を通じた同時代の作家同士の精神的交流と評価
キーワード
チェーホフヤールタ暗鬱ヨーヌィチ可愛い女犬を連れた奥さんトルストイ