乗合自動車

川田 功

青空文庫で読む
大正東京日本小説
階級・貧富権力・反逆
あらすじ

若く凄腕のスリである守川英吉は、新米の箕島刑事に尾行されながらも余裕で銀座の街を歩き、資生堂で昼食をとる。そこで同席した年増の貴婦人の驕慢な態度に反感を抱き、彼女を標的に嫌がらせを企てる。乗合自動車の車内で貴婦人の財布をすろうとするが、すでに別のスリに抜かれた後であった。苛立つ英吉の前に隙だらけの中年紳士が現れると、彼は鮮やかな手口で金時計と財布をすり取り、あろうことかその盗品を先ほどの貴婦人の袂に押し込む。降車時、英吉は女車掌と刑事に「あの女がスリだ」と告げて罪をなすりつけ、紳士が盗難に気づいて大騒ぎするのを尻目に、悠然とその場を立ち去っていく。

登場人物4
守川英吉もりかわえいきち
悪党
男性スリその他

役割主人公

「隼英吉」の異名を持つ若く凄腕のスリ。尾行されている状況でも余裕を崩さず、自身のプライドと気まぐれから他者を巧妙に陥れる狡猾さを持つ。

箕島刑事みのしまけいじ
凡人
男性刑事官僚

役割敵役

警視庁に採用されたばかりの新米刑事。英吉を尾行するが完全に見下されており、彼の巧妙な手口に気づくことなく翻弄される。

年増の貴婦人としまのきふじん
犠牲者
女性富裕層

役割犠牲者・触媒

資生堂で驕慢に振る舞っていたため英吉の反感を買った女性。乗合自動車内で英吉の嫌がらせの標的にされ、スリの濡れ衣を着せられる。

中年の紳士ちゅうねんのしんし
犠牲者
男性富裕層

役割犠牲者

だらしない身なりで乗合自動車に乗り込んできた紳士。英吉に金時計と財布をすり取られ、降車後に狂乱状態となって大騒ぎをする。

人物相関3
箕島刑事守川英吉対立

尾行の対象

守川英吉年増の貴婦人対立

反感の対象であり濡れ衣を着せる標的

守川英吉中年の紳士対立

スリの標的

舞台

時代背景

大正〜昭和初期の冬(師走)

場所

東京・銀座周辺(尾張町〜新橋〜京橋〜室町)の街頭および乗合自動車内

日本

テーマ
  • プライドと反骨心に基づく犯罪
  • 驕慢な富裕層への悪意と憂さ晴らし
  • 完全犯罪と被害者の転落を嘲笑するピカレスク
キーワード
乗合自動車スリ刑事資生堂金時計濡れ衣