あらすじ
病気療養のため箱根の温泉宿を訪れた省の書記官である奥村辰弥は、美貌の娘である三好光代を見初め執着を抱く。光代の父である資産家の善平は、辰弥の官僚としての肩書きに惹かれて親しく交際を始める。光代は若き哲学者の東条綱雄と惹かれ合っていたが、綱雄は辰弥の俗物的な軽薄さを嫌悪して善平と激しく対立し、光代を残して帰京してしまう。その後、炭山の払い下げ事業を目論む善平は、官僚である辰弥の裏工作に完全に依存するようになる。辰弥は巧みに事態を操り、善平が最も切羽詰まった閣令発表の前日に、成功の絶対条件として光代を妻に差し出すよう要求する。利益に目がくらんだ善平はこれを承諾し、綱雄と光代の縁は無惨に引き裂かれる。綱雄が失意のうちに学問の道に籠もる一方、辰弥が光代を手に入れる結末が示唆されて物語は終わる。
登場人物4人
奥村辰弥おくむらたつや
悪党男性30歳省の書記官官僚
役割主人公・敵役
省の書記官。頭の回転が速く狡猾な野心家で、他人の弱みや欲望につけこみ、策を弄して光代を我が物にしようと企む。
三好善平みよしぜんぺい
道化男性50歳資産家富裕層
役割脇役・家族
恰幅の良い資産家。炭山の払い下げによる莫大な利益に目が眩み、官僚である辰弥に媚びへつらい、最終的に娘の光代を差し出してしまう俗物。
三好光代みよしみつよ
犠牲者女性富裕層
役割恋愛対象・犠牲者
善平の美しい末娘。綱雄を慕っているが、父の事業の思惑と辰弥の狡猾な罠によって、望まぬ結婚を強いられる運命となる。
東条綱雄とうじょうつなお
求道者男性哲学者知識人
役割恋愛対象・対照キャラ
善平の親戚で、哲学を修めた気位の高い青年。光代と惹かれ合うが、辰弥の軽薄さを許せず、妥協を拒んで身を引く不器用な人物。
人物相関5件
奥村辰弥三好光代恋愛
一方的な執着と略奪の対象
三好善平奥村辰弥友人
炭山払い下げの裏工作を依頼する相手
三好光代東条綱雄恋愛
相思相愛だが引き裂かれる恋人
東条綱雄奥村辰弥対立
軽薄な俗物として激しく嫌悪
三好善平三好光代家族
利益のために犠牲にする末娘
舞台
時代背景
明治時代中期
場所
箱根の温泉宿および東京
国
日本
テーマ
- 官僚の地位を悪用した略奪
- 純粋な感情と利益追求の対立
- 俗物的な欲望による犠牲
キーワード
書記官炭山閣令願書琴