中世関西日本小説
自我・正体死・無常戦争・争い
あらすじ

摂津の松山新介に仕える侍大将・中村新兵衛は、「鎗中村」として広く恐れられる豪傑だった。彼が身につける猩々緋の服折と唐冠の兜は、戦場において敵には脅威を与え、味方には絶対的な信頼の的となっていた。ある日、幼い頃から守り役として育ててきた主君の側室の子である若武者が、初陣で手柄を立てるために新兵衛の服折と兜を貸してほしいと頼んでくる。新兵衛は若者の功名心を笑って受け入れ、自らの「形」である武具を快く貸し与えた。翌日の筒井順慶の軍勢との戦いで、新兵衛の武具を身につけた若武者は、その威光に恐れをなす敵兵を次々と突き伏せ見事な活躍を見せる。それを見た新兵衛は、自身の「形」が持つ絶大な力に誇りを感じながら、普段とは違う黒皮縅の鎧と南蛮鉄の兜姿で二番槍を入れようと敵陣へ突撃する。しかし、新兵衛の威光を持たない見慣れぬ武者に対して敵兵は全く怯まず、むしろ先の恨みを晴らそうと猛然と反撃してきた。いつもと違って必死に抵抗する敵兵に苦戦し突き負けそうになった新兵衛は、自身の武具を貸したことを後悔した瞬間に、敵の槍に腹を貫かれてしまう。

登場人物2
中村新兵衛なかむらしんべえ
没落者
男性侍大将武士

役割主人公

松山新介に仕える侍大将。「鎗中村」と恐れられる豪傑で、自身のトレードマークである猩々緋の服折と唐冠の兜を若武者に貸したため討ち死にする。

若い士わかいさむらい
求道者
男性武士武士

役割触媒・脇役

主君・松山新介の側室の子。初陣で功名を立てるため、守り役である新兵衛に頼み込んで目立つ武具を借り、見事に敵陣を突き崩す。

人物相関1
中村新兵衛若い士師弟

主君の側室の子であり、幼少から守り役として慈しみ育ててきた

舞台

時代背景

戦国時代

場所

摂津平野の一角

日本

テーマ
  • 外見がもたらす威光と実態の乖離
  • 名声の危うさと過信による破滅
キーワード
鎗中村猩々緋の服折唐冠の兜初陣