インドの避暑地シムラに滞在するイギリス人文官ジャック・パンセイは、かつて不倫関係にあったウェッシントン夫人を冷酷に捨てた。彼女は「何かの間違いだ」と悲観しながら死んでしまう。その後、ジャックはキッティ・マンネリングと婚約し幸福の絶頂にあったが、ある日シムラの街中で死んだはずの夫人が乗る黄色い人力車の幻影に遭遇する。白黒の法被を着た苦力が引くその人力車はジャックにしか見えず、夫人の亡霊は生前と同じ言葉で彼に懇願を続ける。幻影に四六時中つきまとわれ奇怪な言動を繰り返すようになったジャックに対し、周囲は彼が発狂したと疑い、キッティも彼の過去の不義を知って婚約を破棄する。主治医のヘザーレッグは幻影を過労と胃腸疾患による錯覚と断定して治療を施すが、幻影が消えることはなかった。地位も愛も失い社会から完全に孤立したジャックは、自らの罪の重さを自覚しながら、死によって幽霊の世界へと引きずり込まれる日を怯えつつ待ち、その顛末を手記に書き残す。
役割主人公・語り手・犠牲者
インドに駐在するイギリス人文官。かつての愛人を無慈悲に捨てた報いとして、彼女の幻影に憑りつかれ地位も愛も失い破滅していく。
役割敵役・恋愛対象
ジャックのかつての不倫相手。彼に捨てられた後も愛を乞い続けながら病死し、死後に幻の人力車に乗って彼の前に現れる。
役割恋愛対象
ジャックの新しい婚約者。ジャックの不可解な言動に耐えかね、また過去の不倫を知ったことで彼を見限り去っていく。
役割協力者・対照キャラ
シムラの名医。ジャックの見る幻影を過労や胃腸の不調による錯覚と診断し、近代医学的アプローチで治療を試みる。
かつての不倫相手だが、ジャックが一方的に冷酷に捨てた
婚約者。ジャックの奇行と過去を知り、彼を振る
主治医であり、ジャックの異常を病気とみなして治療を試みる
時代背景
1880年代
場所
シムラおよびその近郊(サンジョリー、ジャッコなど)
国
インド
- 過去の不義と裏切りに対する死者からの因果応報的な報復
- 執念深い愛が死後も持続し生者を破滅に導く恐怖
- 超自然的な怪異と近代医学による合理的な解釈の対比