蕎麦の花の頃

李 孝石

青空文庫で読む
昭和前期海外日本小説
家族・血縁運命・宿命自然・風土孤独・疎外
あらすじ

左利きの老行商人・許生員は、相棒の趙先達や若き行商人の童伊とともに、蓬坪の市から次の大和の市へと月夜の道を歩き出す。道中、許生員は若い頃、蓬坪の水車小屋で成書房の娘と一夜だけの関係を持った忘れられない思い出を語る。娘はその後、家族と夜逃げして行方知れずになっていた。同じく身の上を語り出した童伊は、自分が父親の顔を知らずに育ち、未婚の母の故郷が蓬坪であることを明かす。川を渡る際に足を滑らせた許生員は童伊に背負われて助けられるが、その時、童伊が自分と同じく左利きで鞭を持っていることに気づく。許生員は童伊が自らの血を引く息子であることを直感し、童伊の母がいるという堤川へ三人で共に向かうことを決意する。

登場人物3
許生員
放浪者
男性行商人商人

役割主人公

長年、驢馬と共に市場を渡り歩いてきた左利きの太物売り。若い頃に蓬坪で一夜だけ結ばれた女性の面影を生涯忘れずに生きている。

趙先達
調停者
男性行商人商人

役割協力者・脇役

許生員の長年の相棒である行商人。許生員の昔話の良き聞き役であり、酒場での喧嘩を仲裁するなど気さくな男。

童伊
守護者
男性行商人商人

役割脇役・家族

堤川の田舎で未婚の母から生まれた若き小間物売り。義父の虐待に耐え自立した心優しい若者で、川で溺れかけた許生員を背負って助ける。

人物相関2
許生員童伊家族

かつて結ばれた女性との間に生まれた実の息子であることが強く暗示される存在

許生員趙先達友人

共に市場を巡って苦楽を共にしてきた長年の行商仲間

舞台

時代背景

夏の夜

場所

江原道・蓬坪から大和へ向かう山道と川

朝鮮

テーマ
  • 月夜と蕎麦の花が織りなす幻想的で美しい自然描写
  • 過去のロマンスと予期せぬ血縁のめぐり合わせ
  • 孤独な行商人の哀愁と、血の繋がりによる微かな希望
キーワード
蕎麦の花月夜驢馬左利き行商人水車小屋