あらすじ
11歳で両親を亡くし親戚にも見放された苦労人の学生・文吉は、東京での留学生活の中で激しい孤独感に苛まれていた。彼はある運動会で見かけた少年・操に強く惹かれ、手紙で愛を告白して同意の返事を得る。しかし、操の実際の態度は冷淡に感じられ、文吉は血書を送るほど一方的に思いを募らせていた。帰郷を翌日に控えた夜、文吉は必死の勇気を振り絞って渋谷にある操の家を訪ねる。案内されて家に上がったものの、襖の奥にいるはずの操は一向に顔を出そうとしなかった。自分が拒絶され顔すら見せてもらえないと悟った文吉は、理想と現実の落差に打ちひしがれ、激しい悲哀と憤怒に駆られて家を飛び出す。生きる希望を完全に失った彼はついに死を決意し、夜の踏切で線路に身を横たえ、孤独な涙を流しながら自分を轢き殺す汽車を待ち続ける。
登場人物2人
文吉ぶんきち
狂信者男性18歳学生学生
役割主人公
11歳で両親を亡くし零落した苦労人。強い野心と深い孤独感を抱えており、見そめた少年・操に対して血書を送るほどの偏執的で熱烈な愛情を注ぐ。
操みさお
凡人男性学生学生
役割恋愛対象
文吉が熱烈に思いを寄せる少年。文吉からの愛の告白に同意の返事をするが、普段は無口で極めて冷淡な態度をとっている。
人物相関1件
文吉操恋愛
文吉が激しい愛情と執着を抱く相手。手紙で愛を確かめ合ったはずだが、操の態度は冷淡である。
舞台
時代背景
明治時代後期
場所
東京・渋谷周辺
国
日本
テーマ
- 同性への強烈な思慕と偏執的な愛情
- 理想化された愛と現実の冷酷な落差による絶望
- 自己の孤独を埋める他者を求める思春期の激しい煩悶
キーワード
孤独愛血書渋谷玉川電車自殺