土から手が

牧 逸馬

青空文庫で読む
大正海外日本小説
道徳・倫理死・無常
あらすじ

1919年3月8日、カリフォルニア州サンマテオ郡の街道を走行中のトラック運転手トニィは、崖下の河床の土から突き出て手招きするような女性の手を発見する。通報により遺体が収容され、解剖の結果、死因が非合法な堕胎手術の失敗と放置によるものと判明する。衣服のタグなど身元を示す証拠は周到に剥ぎ取られていたが、遺体の公開により、被害者が赤十字看護婦のアイネ・リィドであることが特定される。サンフランシスコ警察のダンカン・マテスン主任やチャアルス・ガフ刑事らが合同捜査を開始し、ガフ刑事はサンマテオ市での聞き込みや水道・ガスの契約記録から、一時的に借りられた空き家が手術現場であることを突き止める。さらに牛乳配達の少年や隣人の証言から、過去にも堕胎手術で死者を出したノウスカット医師と看護婦のフランシス・メイスンが捜査線上に浮かぶ。警察はノウスカットを逮捕し、彼が手術に失敗して苦しむアイネを連れ回した末に遺棄した事件の全容を明らかにする。ノウスカットは第二級殺人で有罪となり刑務所で病死するが、アイネを妊娠させた男の正体は解明されないまま終わる。

登場人物4
アイネ・エリザベス・リィドあいね・えりざべす・りぃど
犠牲者
女性28赤十字看護婦知識人

役割犠牲者・触媒

赤十字に所属する従軍看護婦。美しい手を持つ。不義の子を妊娠して非合法な堕胎手術を受け、その失敗により命を落とし遺棄される。

ダンカン・マテスンだんかん・まてすん
知者
男性警察司法主任官僚

役割主人公・師匠・導き手

サンフランシスコ警察の探偵捜査事務を統轄する主任。論理的な推論で部下を導き、事件の真相究明の指揮を執る。

チャアルス・ガフちゃあるす・がふ
求道者
男性刑事官僚

役割主人公・協力者

マテスンの部下である有能な刑事。サンマテオで地道な聞き込みと記録の調査を行い、犯罪現場の家と犯人を特定する。

ノウスカットのうすかっと
悪党
男性医師知識人

役割敵役

サンマテオの医師。過去にも堕胎手術で死者を出しており、アイネの手術に失敗すると保身のために彼女を見殺しにし遺棄した。

人物相関3
ダンカン・マテスンチャアルス・ガフ同僚

上司と部下として協力し、共に事件の捜査を推し進める

チャアルス・ガフノウスカット対立

事件の真相を追及し、逃亡を図る犯人を追い詰める

ノウスカットアイネ・エリザベス・リィド対立

非合法手術を施した患者だが、手術失敗後に見捨てて死に追いやる

舞台

時代背景

1919年(第一次世界大戦直後)

場所

アメリカ合衆国カリフォルニア州(サンマテオ郡、サンフランシスコ)

アメリカ

テーマ
  • 非人道的な犯罪の摘発
  • 近代警察による科学的で地道な捜査
  • 第一次世界大戦後の社会における女性の悲劇
キーワード
土から生えた手赤十字看護婦非合法手術堕胎サン・マテオリモジン