P丘の殺人事件

松本 泰

青空文庫で読む
大正海外日本小説
愛・恋愛犠牲・献身家族・血縁
あらすじ

ロンドンに滞在する青年・坂口は、同居する伯父の林順三郎が突如として不自然な外出を繰り返すようになったことを不審に思う。同じ頃、林の想い人である未亡人エリスは、過去に因縁のある悪漢コルトンから脅迫を受け、苦悩の日々を送っていた。コルトンはエリスの娘ビアトレスを罠にかけてパーク旅館に監禁するが、密かに隣室に投宿して事件を追っていた林によって救出される。その後、エリスを恐喝するために指定されたパラメントヒルでコルトンが射殺される事件が発生し、現場に駆けつけた林が警察に逮捕されてしまう。林はエリスが犯人だと誤解し、愛する彼女を庇うために自ら殺人の罪を自白していた。しかし、坂口は被害者の銃創の位置や現場の状況から、林やエリスが犯人ではないと推理する。事件前にエリスの家の前で不審な行動をとっていた女を酒場で発見した坂口は、彼女を警察へ連行する。女はコルトンに捨てられた元情婦であり、復讐のために彼を尾行し射殺したことを自白した。真犯人の判明によって林の無実が証明され、釈放された林とエリス母子らは再び平穏な日々を取り戻す。

登場人物6
坂口さかぐち
求道者
男性学生

役割主人公・触媒

ロンドンで伯父の林順三郎と同居している青年。伯父やコックス家の危機を救うため、事件の真相究明に奔走する。

林順三郎はやしじゅんざぶろう
守護者
男性元船長富裕層

役割協力者・家族・犠牲者

坂口の伯父。かつて船長として世界を航海し、現在は莫大な財産を持つ。エリスを深く愛しており、彼女を守るために自ら殺人の罪を被ろうとする。

エリス・コックスえりす・こっくす
犠牲者
女性富裕層

役割脇役・犠牲者・恋愛対象

林の旧友であり想い人。過去の因縁から悪漢コルトンに脅迫され、苦悩の日々を送る未亡人。

ビアトレスびあとれす
犠牲者
女性富裕層

役割脇役・犠牲者

エリスの一人娘。母を脅迫するコルトンの罠にはまり誘拐されるが、林によって救出される。

トーマス・コルトンとーます・こるとん
悪党
男性54その他

役割敵役

エドワードと名乗り、エリスの過去の秘密を利用して大金を強請る悪漢。パラメントヒルで何者かに射殺される。

エドワード夫人えどわーどふじん
復讐者
女性その他

役割敵役・触媒

スマトラでコルトンと同棲していた元情婦。コルトンに裏切られて捨てられた恨みから彼を追い、殺害を実行する。

人物相関5
坂口林順三郎家族

同居している伯父と甥の関係

林順三郎エリス・コックス恋愛

密かに深く愛しており、彼女を守るためなら犠牲を厭わない

トーマス・コルトンエリス・コックス対立

過去の秘密を握り脅迫する関係

エドワード夫人トーマス・コルトン対立

自分を捨てた裏切り者として憎悪し命を狙う

坂口ビアトレス友人

互いに好意を抱き、家族の危機を救うため協力し合う

舞台

時代背景

1920年代頃の初夏

場所

ロンドン市街(ベースウォーター街、クロムウェル街、パラメントヒルなど)

イギリス

テーマ
  • 愛する者を守るための無私の自己犠牲
  • 過去の因縁と裏切りがもたらす悲劇と復讐
  • 誤解と思い込みによる自己犠牲の連鎖
キーワード
パーク旅館パラメントヒル脅迫状拳銃鸚鵡スマトラ