辻馬車

森 鴎外

青空文庫で読む
明治海外その他の諸国小説
愛・恋愛運命・宿命
あらすじ

10年ぶりに再会した貴夫人と男の会話劇。貴夫人は、10年前の10月にブダペストの晩餐会で男に家まで送られた夜の真相を語り始める。当時、貴夫人は男に惹かれており、関係が進展する可能性に身を委ねるつもりでいた。しかし、男が手配した辻馬車が騒音のひどく寒々しい「一頭曳」であったため、車内での繊細な会話や、好意を伝えるための沈黙のニュアンスを作り出すことができず、二人の恋はすれ違いに終わってしまったのだと明かす。もし静かで心地よい「二頭曳」の馬車であれば結末は違っていたという貴夫人の言葉に、男は過去の自らの無神経な選択を激しく後悔する。現在、雨が降る中で男は再び彼女を家へ送るために辻馬車を呼びに行こうとする。今さら二頭曳に乗っても昔のようには役に立たないと告げる貴夫人に対し、男は自らの過去の愚かさを噛み締め、苦笑いを浮かべながら雨の中を歩いていく。

登場人物2
貴夫人きふじん
知者
女性貴族

役割主人公・語り手

10年ぶりに男と再会し、過去のすれ違いの真相や女心の機微を彼に語り聞かせる上品な女性。

おとこ
没落者
男性富裕層

役割主人公・恋愛対象

10年前に貴夫人に恋をしていたが、女心や状況への配慮に欠けていたため、自らの選択で恋のチャンスを逃したことに気づき激しく後悔する男性。

人物相関1
貴夫人恋愛

10年前に互いに惹かれていたが、すれ違いに終わったかつての想い人

舞台

時代背景

10年前の秋から現在にかけて

場所

ハンガリーのブダペスト

ハンガリー

テーマ
  • 些細な選択や状況が恋愛の行方を決定づける運命の皮肉
  • 過去のすれ違いに対する後悔と哀愁
  • 言葉にできない感情の機微と男女の心理の相違
キーワード
辻馬車一頭曳二頭曳ブダペスト沈黙