四十八人目

森田 草平

青空文庫で読む
近世東京日本小説
死・無常愛・恋愛自我・正体孤独・疎外
あらすじ

元赤穂藩士の毛利小平太は、主君の仇・吉良上野介を討つための連盟に加わり、江戸で同志と同宿しながら吉良邸を探索していた。その最中、浅野家の元家臣の娘であるおしおと偶然再会し、秘密裏に恋仲となる。討ち入りの日が近づくにつれ、同志たちが死の覚悟を固め、あるいは恐れをなして脱盟していく中、小平太の心には死への恐怖と身ごもったおしおへの未練が募っていく。自らの弱さを断ち切るため、小平太はおしおを殺害しようとするが実行できず、すべてを打ち明ける。おしおは彼を助命し、討ち入りへ向かうよう送り出す。しかし討ち入り当日、小平太は恐怖から江戸の街をあてもなく彷徨い、集合時刻に遅れてしまう。翌日、同志たちが討ち入りを成功させたことを瓦版で知った小平太は、絶望と自己嫌悪を抱えながらおしおの元へ向かい、自身の臆病さを告白する。おしおは彼を責めず、世間から笑われようとも共に生きていく決意を語り、二人は夜明け前に誰にも知られず姿を消す。

登場人物7
毛利小平太もうり こへいた
没落者
男性27浪人武士

役割主人公

赤穂浪士の一人。討ち入りのため江戸に潜伏するが、死への恐怖と恋人への未練から心が揺れ動き、土壇場で大義から脱落する青年。

おしおおしお
守護者
女性20茶店の女中武士

役割恋愛対象・協力者

浅野家元家臣の娘。親を亡くして茶店で働いていたところ小平太と再会し、恋仲となり身ごもる。臆病な彼を受け入れ共に生きる覚悟を決める。

横川勘平よこかわ かんぺい
狂信者
男性浪人武士

役割対照キャラ

小平太と同宿する急進派の同志。討ち入りに向けて狂信的なほどの情熱を持ち、脱落者を激しく非難する。

堀部安兵衛ほりべ やすべえ
英雄
男性浪人武士

役割脇役・対照キャラ

江戸における急進派の中心人物。冷静かつ着実に討ち入りの準備を進める。

大石内蔵助おおいし くらのすけ
知者
男性浪人武士

役割師匠・導き手

赤穂浪士の頭領。討ち入りの計画を大局的に指導し、同志たちから深い敬愛を集めている。

山田新左衛門やまだ しんざえもん
偽善者
男性戸田家家臣武士

役割家族・対照キャラ

小平太の実兄。主家への累が及ぶことを恐れ、弟の身を案じるふりをしながら討ち入りの連盟から抜けるよう迫る。

小山田庄左衛門おやまだ しょうざえもん
放蕩者
男性浪人武士

役割対照キャラ

小平太と同宿していた浪士。討ち入りの直前に同志の金を盗み、遊女と共に逃亡する。

人物相関5
毛利小平太おしお恋愛

恋人。偶然再会し逢瀬を重ねるうちに身ごもらせる

毛利小平太横川勘平友人

同宿の同志であり、彼の大義に燃える姿に圧倒されている

毛利小平太山田新左衛門家族

実の兄。討ち入りからの離脱を迫られる

毛利小平太大石内蔵助主従

討ち入りの頭領として深く敬愛している

横川勘平小山田庄左衛門対立

金を盗んで逃亡した同志として激しく憎悪し非難する

舞台

時代背景

江戸時代中期(元禄期)

場所

江戸(本所、亀戸、両国周辺など)

日本

テーマ
  • 武士道という大義と、個人の死への恐怖・生への執着の葛藤
  • 英雄的集団からこぼれ落ちる人間の弱さと自己受容
  • 社会的な名誉を失うことと引き換えに得る個人的な愛と生きる覚悟
キーワード
討ち入り仇討ち赤穂浪士連判状脱盟籾と糠瓦版