病院の窓

南部 修太郎

青空文庫で読む
明治東京日本小説
死・無常運命・宿命孤独・疎外
あらすじ

十七歳の五月、重い腸チフスに罹った「私」は、赤坂の病院で死の淵を彷徨ったのち奇跡的な回復を遂げる。献身的な看護婦の武井さんや見舞いに来る母に支えられながら、「私」は病室の窓から中庭や向かいの病棟を眺めて過ごすようになる。順調に回復していく中で、「私」は向かいの病室に入院してきた若い女性とその夫の憂いを帯びた姿に関心を持ち、別の病室で患者が亡くなった出来事なども通して、病院という空間が抱える生と死の運命の不思議さに思いを馳せる。やがて体力を取り戻し、明日ついに退院するという日の夜、「私」は向かいの病室の窓のカーテンが閉ざされたままであることに気づく。武井さんからその若い女性が今夜持たないかもしれないと告げられた「私」は、自身の退院という明るい喜びの裏で他者の死という逃れられない運命に直面し、沈んだ気持ちで暗い窓をいつまでも見つめ続けるのだった。

登場人物5
わたし
犠牲者
男性17学生学生

役割主人公・語り手

重い腸チフスに罹り死の淵から生還した青年。病室の窓から外の景色や他の患者を観察し、生と死の運命について思いを巡らせる。

武井たけい
守護者
女性看護婦

役割協力者・対照キャラ

私の担当看護婦。70日余り休まず献身的に看病してくれた明るい女性で、病院内の様々な出来事や噂話を私に聞かせる。

はは
守護者
女性

役割家族

私の母親。足繁く病院に見舞いに訪れ、息子の命が助かり退院できることを涙ぐんで喜ぶ。

若い女わかいおんな
犠牲者
女性主婦会社員

役割対照キャラ・犠牲者

向かいの病室に入院してきた会社員の妻。肋膜炎と盲腸炎を患い、私が退院する前夜に危篤状態に陥る。

おつと
守護者
男性会社員会社員

役割脇役

若い女の夫。病室の窓から憂鬱そうな顔で外を眺め、死期の迫る妻に優しく寄り添っている。

人物相関3
武井友人

患者と担当看護婦

家族

息子と母親

若い女家族

夫婦

舞台

時代背景

初夏から夏にかけて(5月から7月中旬)

場所

赤坂の病院の病室

日本

テーマ
  • 生還する者と死にゆく者の残酷な対比
  • 病院という閉鎖空間における生と死の縮図
  • 窓越しに観察される他者の人生と運命の不可思議さ
キーワード
病院運命若葉カアテン