坊っちゃん

夏目 漱石

青空文庫で読む
明治中国・四国日本小説
道徳・倫理権力・反逆自我・正体
あらすじ

幼い頃から無鉄砲で損ばかりしている江戸っ子の「おれ」は、物理学校を卒業後、四国の田舎の中学校に数学教師として赴任する。赴任先では、事勿れ主義の校長「狸」、陰険で裏表のある教頭「赤シャツ」、その腰巾着の画学教師「野だ」といった教師たちや、いたずら好きで反抗的な生徒たちに辟易する。「おれ」は最初、正義感の強い同僚の数学教師「山嵐」とも衝突するが、彼が陰口を叩かず筋を通す人間だと知り、次第に意気投合していく。一方、赤シャツが大人しい英語教師の「うらなり」の婚約者である「マドンナ」を横取りしようと企み、うらなりを遠方の延岡へ追いやる策略を巡らしていることを知る。「おれ」と山嵐は、うらなりの送別会で赤シャツの偽善を公然と皮肉り、さらに祝勝会の喧嘩騒動の際に赤シャツの策略によって新聞で悪意ある記事を書かれたことで、ついに怒りを爆発させる。二人は赤シャツと野だが温泉町の遊郭から出てくる現場を待ち伏せし、天誅として彼らを殴り倒して懲らしめる。その後、二人は潔く辞表を提出して四国を去り、「おれ」は東京へ戻って、自分を無条件に愛してくれた下女の清との再会を果たす。その後、街鉄の技手として働きながら清と同居し、肺炎で亡くなった彼女を看取るのだった。

登場人物7人
坊っちゃん(おれ)ぼっちゃん(おれ)
反逆者
男性24歳数学教師知識人

役割主人公・語り手

親譲りの無鉄砲な性格で損ばかりしている江戸っ子。嘘や不正を憎む強い正義感を持つ。

清きよ
守護者
女性下女労働者

役割家族・協力者

坊っちゃんの家で長年奉公している老婆。坊っちゃんを「真っ直ぐで良い気性」と溺愛し、庇護する。

堀田(山嵐)ほった(やまあらし)
反逆者
男性数学教師(主任)知識人

役割協力者・対照キャラ

強面で正義感の強い数学主任。最初は坊っちゃんと対立するが、後に意気投合し共に不正に立ち向かう。

赤シャツあかしゃつ
偽善者
男性中学校教頭知識人

役割敵役

常に赤いフランネルのシャツを着ている教頭。表面上は丁寧で親切を装うが、裏で陰険な策略を巡らす狡猾な人物。

古賀(うらなり)こが(うらなり)
犠牲者
男性英語教師知識人

役割犠牲者・脇役

顔色が悪く大人しい英語教師。赤シャツの策略により、婚約者を奪われ遠方の延岡へ転任させられる。

吉川(野だ)よしかわ(のだ)
道化
男性画学教師知識人

役割敵役・脇役

赤シャツの腰巾着として常に行動を共にする画学教師。江戸っ子を気取り、他者をおだてたり陥れたりする。

狸たぬき
支配者
男性中学校校長知識人

役割敵役・脇役

中学校の校長。事勿れ主義で、赤シャツの策をそのまま受け入れるなど頼りない態度をとる。

人物相関5件
坊っちゃん(おれ)清家族

血縁はないが自分を絶対的に肯定し、無償の愛情を注いでくれる存在

坊っちゃん(おれ)堀田(山嵐)同僚

当初は反発するが、互いのまっすぐな気性を認めて固い絆を結ぶ同志

坊っちゃん(おれ)赤シャツ対立

裏表のある言動と卑劣な策略を心底憎み、最終的に天誅を下す対象

赤シャツ古賀(うらなり)対立

婚約者(マドンナ)を我が物にするため、陰謀を用いて地方へ左遷させる

吉川(野だ)赤シャツ主従

赤シャツの腰巾着として命令に従い、様々な策動に加担する

舞台

時代背景

明治時代

場所

四国の城下町とその周辺の温泉地

国

日本

テーマ
  • 嘘や偽善に対する純粋な正義感の衝突
  • 損得勘定ではなく義理と人情を重んじる生き方
  • 裏表のある社会システムへの反発と勧善懲悪
キーワード
無鉄砲江戸っ子赤手拭天麩羅バッタマドンナ辞表天誅