あらすじ
語り手が、幽霊を信じない警察官の知人から聞いた体験談。某氏は芝烏森の小粋な屋敷長屋に引っ越すが、深夜に便所へ行くと庭に青白い顔の老婆が立っているのを目撃する。一度目は気のせいかと思ったが、一ヶ月後に再び同じ老婆の姿を見て恐怖に駆られ徹夜する。翌日、家主を問い詰めると、その家はかつて華族に奉公していた老女が建てたもので、彼女は貯め込んだ金を放蕩者の養子に全て騙し取られ、狂死したことが判明する。某氏は現れた老婆がその怨霊だと悟り、転居を決意するとともに、僧侶を呼んで彼女の供養を執り行った。
登場人物5人
某氏ぼうし
調停者男性41歳警察官官僚
役割主人公
芝警察署に勤める警察官。幽霊などを信じない現実的な性格だが、引っ越し先で怪異に遭遇し、最後に怨霊の供養を行う。
老婆ろうば
犠牲者女性元奉公人労働者
役割敵役・犠牲者
華族に一生奉公し蓄財したが、養子に全てを騙し取られて狂死し、怨霊となって屋敷の庭に現れる。
養子ようし
放蕩者男性その他
役割触媒
身寄りのない老婆がもらった養子。放蕩無頼な性格で、老婆の金を全て騙し取って逃亡した。
家主やぬし
知者男性家主商人
役割協力者
某氏が借りた家の大家。怪異に驚いた某氏に問い詰められ、かつてその家を建てた老婆の悲惨な素性を明かす。
私わたし
凡人その他・不明
役割語り手
某氏から怪異の実見談を聞き、それを語る人物。
人物相関3件
私某氏友人
自宅によく遊びに来ていた知人
某氏老婆対立
借家の庭に現れた怨霊と遭遇し、後にその霊を供養する
養子老婆家族
養母。金を騙し取って狂死に追いやる
舞台
時代背景
明治〜大正時代の8月から10月にかけて
場所
東京・芝烏森の屋敷長屋
国
日本
テーマ
- 死者の未練と怨念の恐ろしさ
- 金銭をめぐる身内の裏切りと悲劇
- 因果と供養
キーワード
幽霊芝烏森便所手燭怨霊供養養子