大岡政談

尾佐竹 猛

青空文庫で読む
近世東京日本小説
道徳・倫理家族・血縁権力・反逆愛・恋愛
あらすじ

江戸時代中期、八代将軍・徳川吉宗の厚い信任を受け、江戸町奉行に抜擢された大岡越前守忠相は、白洲に持ち込まれる数々の難事件を卓抜した洞察力と人情味あふれる名裁きで解決していく。「天一坊一件」では、証拠の品を悪用して吉宗の御落胤を騙り、大名に取り立てられようと企む詐欺師・天一坊と、その参謀である知恵者の浪人・山内伊賀亮の大陰謀を、越前守が己の命と役職を懸けた再吟味によって打ち砕く。「村井長庵一件」では、金欲しさから実弟を殺害してその妻や姪を苦界に売り飛ばし、無実の浪人に罪をなすりつけた極悪非道な町医者・長庵の化けの皮を、数々の証人喚問を通じて引き剥がす。「畔倉重四郎一件」では、連続強盗殺人を働きながら巧みに他人に罪を被せて平然としている重四郎を、理詰めの尋問で自白に追い込む。「小間物屋彦兵衛一件」では、強欲な真犯人の罠に落ちて死罪を宣告された彦兵衛を、彼の息子の孝心と越前守の機転によって救い出し、無実の者の濡れ衣を晴らす。そのほか、親の仇を討つために身を売る烈婦や、無実の罪に問われた忠義の者たちの姿が描かれ、大岡越前守は卓越した知略をもって悪党には厳罰を、善人には救済を与える。天網恢々疎にして漏らさずの道理と勧善懲悪を痛快に描き出した裁判記録の連作である。

登場人物7
大岡越前守忠相おおおかえちぜんのかみただすけ
知者
男性江戸町奉行武士

役割主人公

江戸町奉行。将軍吉宗の信任を受け、卓越した洞察力と人情味あふれる裁きで数々の難事件を解決する名判官。

徳川吉宗とくがわよしむね
支配者
男性将軍武士

役割脇役・協力者

江戸幕府第八代将軍。大岡忠相の才能を見抜き、江戸町奉行に抜擢してその裁定を支持する。

天一坊てんいちぼう
悪党
男性修験者その他

役割敵役

吉宗の御落胤を騙り、証拠の品を悪用して大名に取り立てられようと企む大胆不敵な詐欺師。

山内伊賀亮やまうちいがのすけ
知者
男性浪人武士

役割敵役

天一坊の参謀となる浪人。軍学や諸道に通じる天才的な知恵者で、大岡越前守と激しい法廷闘争を繰り広げる。

村井長庵むらいちょうあん
悪党
男性町医者知識人

役割敵役

金のために実の弟を殺害し、無実の者に罪をなすりつけるなど、口先と奸計で悪逆非道を尽くす町医者。

畔倉重四郎あぜくらじゅうしろう
悪党
男性浪人武士

役割敵役

剣術の達人で怪力の持ち主。連続強盗殺人を働きながら、他人に罪を被せたり仲間を裏切ったりして逃れようとする。

彦兵衞ひこべえ
犠牲者
男性小間物屋商人

役割犠牲者

大坂出身の小間物屋。真犯人の罠にはまり、恩ある隠居を殺害した無実の罪で極刑を宣告される。

人物相関5
徳川吉宗大岡越前守忠相主従

大岡を抜擢し、強い権限を与えて見守る主君

大岡越前守忠相天一坊対立

御落胤を騙る天一坊の嘘を見抜き、徹底的に糺す

天一坊山内伊賀亮主従

天一坊が伊賀亮を軍師として召し抱え、共に幕府を騙そうとする

大岡越前守忠相村井長庵対立

長庵の幾重にも及ぶ偽証と悪事を見破り、厳しい吟味で白状させる

大岡越前守忠相畔倉重四郎対立

証拠を提示して強情な重四郎を論破し、連続殺人の罪を裁く

舞台

時代背景

江戸時代中期(享保年間)

場所

江戸の町奉行所を中心とし、日本各地を舞台とする

日本

テーマ
  • 因果応報と勧善懲悪の徹底
  • 人間の欲望や業の深さと犯罪心理
  • 証拠と道理に基づいた名判官による公正な裁き
キーワード
町奉行白洲拷問訴訟御落胤無実の罪因果応報