金色夜叉

尾崎 紅葉

青空文庫で読む
明治東京日本小説
愛・恋愛階級・貧富道徳・倫理死・無常
あらすじ

両親を亡くし鴫沢家に養育された間貫一は、鴫沢家の娘である宮と許嫁の関係にあった。しかし、宮は正月のカルタ会で出会った銀行家の御曹司・富山唯継の莫大な富とダイヤモンドの指輪に心が眩み、貫一との約束を破って富山と結婚することを決める。貫一は熱海の海岸で宮を問い詰めるが、翻意させることはできず、激しい怒りと復讐を誓って彼女のもとを去る。絶望した貫一は学業を捨て、他人の不幸につけ込む高利貸し・鰐淵の手代となり、金を何よりも信じる冷酷な夜叉へと変貌する。一方、富山の妻となった宮は、裕福な生活を手に入れたものの愛情のない結婚生活に苦しみ、自身の浅はかさと貫一への本当の愛に気づいて激しい悔恨に苛まれるようになる。宮は貫一に何度も手紙を送り、旧友の荒尾を介して赦しを請おうとするが、貫一の心は開かれない。高利貸しとして生きる貫一は暴漢に襲われたり、同業の悪女・赤樫満枝から執拗に言い寄られたりする。その後、恨みを買った鰐淵が放火されて焼死すると、貫一は後を継いで独立する。ある日、貫一は用事で訪れた塩原の温泉宿で、狭山とお静という男女が借金と望まぬ身請けを苦に心中しようとする現場に遭遇する。二人の見返りを求めない純粋な愛と犠牲の精神に心を打たれた貫一は、彼らを金銭で救うことを決意する。この出来事を通して貫一の心に人間らしい情が蘇り、宮の真摯な悔悟に向き合う兆しが見え始める。

登場人物6
間貫一
復讐者
男性学生、のち高利貸商人

役割主人公

宮の許嫁だったが、彼女の裏切りに絶望し、復讐心から冷酷な高利貸しとなる。しかし心の底には人間らしい情と深い哀しみを抱え続けている。

鴫沢宮
没落者
女性富裕層

役割恋愛対象・対照キャラ

貫一の許嫁であったが、富山の莫大な財力に目が眩んで彼と結婚する。愛のない結婚生活の中で過ちに気づき、激しい悔恨の念に苦しむ。

富山唯継
支配者
男性銀行の取締役富裕層

役割敵役

莫大な資産を持つ銀行家。財力に物を言わせて宮を見初め妻にするが、彼女の真の心までは手に入れられず、次第に外で放蕩するようになる。

荒尾譲介
調停者
男性参事官、のち無職官僚

役割協力者・対照キャラ

貫一の学生時代の親友。宮の裏切りに怒る一方で、高利貸しに堕落した貫一を非難し、彼を正道に引き戻そうと苦心する。

赤樫満枝
悪党
女性高利貸商人

役割恋愛対象・対照キャラ

夫に代わって高利貸しを取り仕切る美貌の女性。貫一に惚れ込み、執拗に誘惑を繰り返し、宮に対して強い嫉妬と憎悪を抱く。

鰐淵直行
悪党
男性高利貸商人

役割師匠・導き手・犠牲者

貫一を雇い入れた高利貸し。冷酷無比な取り立てで私腹を肥やすが、債務者の恨みを買い、家に放火されて妻と共に焼死する。

人物相関6
間貫一鴫沢宮恋愛

かつての許嫁。裏切られた憎しみと忘れられない愛の狭間で苦しむ

鴫沢宮富山唯継家族

金銭に目が眩んで選んだ夫だが、愛情を持てずにいる

富山唯継間貫一対立

財力で貫一から宮を奪い去った恋敵

間貫一荒尾譲介友人

学生時代からの親友。互いの境遇の変化により距離ができる

赤樫満枝間貫一恋愛

貫一に対して一方的で執拗な愛情と執着を寄せる

間貫一鰐淵直行主従

高利貸しの手法を学んだ雇い主であり師

舞台

時代背景

明治時代

場所

東京、熱海、塩原

日本

テーマ
  • 愛と金銭の葛藤
  • 裏切りによる復讐心と自己破壊
  • 罪の意識と深い悔悟
  • 純愛を通じた魂の救済
キーワード
金剛石(ダイヤモンド)一月十七日高利貸熱海手紙心中