枯尾花

関根 黙庵

青空文庫で読む
明治日本小説
怪異・幻想道徳・倫理死・無常家族・血縁
あらすじ

複数の不思議な出来事からなる奇談集である。北千住では妻を虐待死させた寄席の亭主が怨霊に悩まされ、浅草の僧は若い頃に分身する遊女に遭遇する。旧幕府時代には死んだ妻の幽霊が赤子に乳を与えて育て、伊賀上野では罪人を秘密裏に処刑した護送役が怨霊の訪問を受けて後悔し百姓となる。先代の坂東秀調は伊勢で病気の女に化けた狸に鰻を騙し取られ、伝馬町の牢では処刑直前の夫の霊が妻の夢に現れる。大阪の俳優・中村福円が手厚く看病した弟子は死の前後に幽霊となって恩返しや法事の手配に訪れ、京都で主人の妻子を殺した召使は宿屋で怨霊の幻覚に怯えて自首する。また、殺生好きの不良僧が夜釣りの最中に怪魚に遭遇して改心するなど、日本各地を舞台に、怨念による復讐や因果応報、未練を残した死者の奇妙な振る舞い、狐狸の類による化かしや不可解な自然現象が淡々と記録されている。

登場人物10
ぼく
知者
男性文筆家知識人

役割語り手

日本各地で語り継がれる奇談や怪異を見聞きし、記録として残す本作の語り手。

席亭の主人せきていのしゅじん
悪党
男性寄席の席亭商人

役割敵役

娼妓に夢中になり、子を持つ本妻を虐待して死に至らしめた男。その後、怨霊による怪異に悩まされる。

席亭の本妻せきていのほんさい
復讐者
女性商人

役割犠牲者

夫から虐待されて命を落とし、怨霊となって周囲に怪異を引き起こす。

護送者ごそうしゃ
没落者
男性役人武士

役割主人公

伊賀上野で罪人を道中で秘密裏に殺害する役目を帯びていたが、怨霊の訪問を受けて後悔し、百姓となる。

坂東秀調ばんどうしゅうちょう
道化
男性俳優職人

役割主人公

伊勢の娼家で、病気の娼妓を哀れんで鰻を奢るが、実は狸が化けていたと知って大笑いする。

中村福円なかむらふくえん
守護者
男性俳優職人

役割師匠・導き手・協力者

肺病に罹った弟子の琴之助を自宅に引き取り、妻と共に厚く看病する慈悲深い人物。

琴之助ことのすけ
超越者
男性俳優の弟子職人

役割触媒

福円の弟子。病死の直前や死後に、恩返しや法事の注文のために幽霊となって姿を現す。

召使の男めしつかいのおとこ
悪党
男性召使労働者

役割主人公・敵役

京都で主人の妻子を殺害し放火して逃走するが、道中の宿屋で死者の幻覚を見て逃げ切れないと悟り自首する。

納所なっしょ
放蕩者
男性僧侶宗教家

役割主人公

殺生を好む不良な僧であったが、夜釣りの最中に正体不明の怪魚に遭遇し、自身の非を悔いて改心する。

師の坊しのぼう
知者
男性住職宗教家

役割師匠・導き手

木津の寺の住職。殺生を繰り返す納所を戒め、追放しようと考えていた。

人物相関3
席亭の主人席亭の本妻家族

虐待の末に死に至らしめた妻

中村福円琴之助師弟

肺病を患ったため看病した弟子

師の坊納所師弟

殺生を好む不良な弟子を戒める

舞台

時代背景

江戸時代後期から明治時代にかけて

場所

東京、京都、大坂、伊勢など日本各地

日本

テーマ
  • 悪事や虐待に対する因果応報
  • 死者が生者に抱く未練や執着
  • 人智を超えた自然や動物による不可思議な現象
キーワード
幽霊怨念怪異死者因果応報幻覚化け物