村の学校(実話)

鈴木 三重吉

青空文庫で読む
明治海外フランス小説
権力・反逆戦争・争い犠牲・献身孤独・疎外
あらすじ

フランスがドイツに敗戦し、アルザス・ローレイヌ地方がドイツ領となった時代。村の小学校では優しいフランス人のハメル先生が追放され、冷酷なドイツ人のクロック先生が赴任してくる。クロック先生は容赦ない暴力で生徒を支配し、ドイツ語を強要した。寄宿舎に入れられた語り手は、同室のガスパール・ヘナンという少年と親しくなる。自然の中で育ったガスパールはフランス語を愛し、ドイツ語の授業に適応できず反抗し続けたため、クロック先生から激しい虐待を受け、暗い牢屋に閉じ込められるようになる。ある日、ガスパールは監視の目を盗んで学校を脱走し、粉ひき業を営む叔父のいる水車場へと逃げ帰る。しかし、怒り狂ったクロック先生が彼を追いかけてきて捕縛する。ガスパールは「フランス語を話したい」と泣き叫んで必死に抵抗するが、憲兵の介入を恐れた叔父たちに見捨てられ、無理やり馬車に乗せられてしまう。冷たい雨が降る帰り道、熱を出したガスパールは絶望と恐怖に苛まれながら、「放しておくれ」とうわ言のように懇願し続けるのだった。

登場人物6
わたし
調停者
男性学生職人

役割語り手・協力者・対照キャラ

物語の語り手。実家が木びき工場で遠方のため寄宿舎に入れられる。暴力的なクロック先生の支配に適応しようと努め、同室のガスパールにも妥協を促す。

ガスパール・ヘナンがすぱーる・へなん
反逆者
男性10学生職人

役割主人公・犠牲者

自然の中で自由に育った少年。フランス語と故郷を深く愛しており、ドイツ語を強要するクロック先生に頑強に抵抗した結果、凄惨な虐待を受ける。

クロック先生くろっくせんせい
支配者
男性教師知識人

役割敵役

新しく赴任してきた冷酷なドイツ人教師。太い杖を持ち歩き、恐怖と暴力によって生徒たちにドイツ語を強制し、徹底的に抑圧する。

ハメル先生はめるせんせい
守護者
男性教師知識人

役割師匠・導き手・対照キャラ

クロック先生の前任であるフランス人の教師。優しく寛容な性格で、野性的なガスパールの性質を理解し、うまく手なずけていた。

クロック夫人くろっくふじん
悪党
女性知識人

役割敵役・脇役

クロック先生の妻。夫以上に意地が悪く、寄宿生たちを階段で追いかけ回しては暴言を吐き、虐待する。

ヘナンへなん
偽善者
男性粉ひき業職人

役割家族・脇役

ガスパールの叔父。最初は逃げ帰った甥を歓迎して食事を与えるが、クロック先生が現れると憲兵の脅しに屈し、あっさりと甥を見捨てる。

人物相関5
クロック先生ガスパール・ヘナン対立

ドイツ語を強要し、反抗する彼を暴力と監禁で徹底的に弾圧する

ガスパール・ヘナン友人

同室の寄宿生であり、過酷な環境を生き延びるために服従するよう助言する

ハメル先生ガスパール・ヘナン師弟

かつての恩師であり、彼の性質を理解し自由にさせていた

ヘナンガスパール・ヘナン家族

ガスパールの叔父。厄介払いで学校に預け、脱走してきた彼を最終的に教師へ引き渡す

クロック夫人クロック先生家族

妻であり、共に生徒たちを抑圧し虐待する

舞台

時代背景

19世紀後半(普仏戦争敗戦後)

場所

アルザス・ローレイヌ地方の村の小学校、および水車場

フランス、ドイツ

テーマ
  • 敗戦による言語と文化の強制的な剥奪
  • 国家権力と暴力的な教育に対する少年の無垢なる抵抗
  • 権力の前に見捨てられる弱者の孤独と悲劇
キーワード
フランス語ドイツ語アルザス・ローレイヌ寄宿舎水車場