墓が呼んでいる

橘 外男

青空文庫で読む
戦後九州・沖縄日本小説
愛・恋愛死・無常運命・宿命怪異・幻想
あらすじ

作家の「私」は、結核で死の床にある青年・柳田から奇妙な体験談を聞く。数年前、長崎の雲仙から山中へ迷い込んだ柳田は、東水の尾という場所で、ユーゴスラビア帰りの元銅山王・石橋弥七郎と、混血の美しい姉妹ジーナとスパセニアに出会う。戦争で財産を失い隠棲する一家と親しくなった柳田は、対照的な魅力を持つ姉妹の両方に惹かれるが、優柔不断から選べないまま東京へ帰る。その後、柳田は結核で倒れ2年以上も再訪できず、連絡も途絶えてしまう。ある日、東京で姉妹の幻影を目撃した柳田は長崎を再訪し、山中で青白い顔の姉妹に道案内される。しかし村の宿屋で、父は事業を苦に自殺し、柳田を巡る嫉妬から妹が姉を射殺して入水自殺したことを知らされる。柳田が案内された場所にあったのは姉妹の墓だった。亡霊に魅入られた柳田は恐怖で逃げ帰り、死期を悟って「私」に墓の確認を託して息を引き取る。後日、「私」が現地を訪れると話は全て真実であり、「私」は姉妹の墓前に花を手向けて冥福を祈る。

登場人物5
わたし
調停者
男性作家知識人

役割語り手・触媒

死の床にある青年の依頼を受け、彼の数奇で恐ろしい体験談を聞き、後にその真実を確かめるために長崎へ赴く。

柳田やなぎだ
没落者
男性25医学生学生

役割主人公・語り手・犠牲者

結核を患い余命幾ばくもない青年。過去に長崎の山中で出会った姉妹のどちらも選べない優柔不断さが原因で悲劇を招き、亡霊に魅入られて命を落とす。

石橋ジーナいしばしじーな
犠牲者
女性23富裕層

役割恋愛対象・対照キャラ・犠牲者

ユーゴスラビア帰りの混血の姉。優しく温和で教養があり柳田を慕っていたが、彼を巡る嫉妬から妹に射殺される。

石橋スパセニアいしばしすぱせにあ
復讐者
女性20富裕層

役割恋愛対象・対照キャラ・敵役

ユーゴスラビア帰りの混血の妹。勝気で情熱的。柳田への愛と疑心暗鬼から姉を撃ち殺し、自らも入水自殺した後、亡霊となって柳田の前に現れる。

石橋弥七郎いしばしやひちろう
没落者
男性57鉱山技師富裕層

役割家族

ユーゴスラビアの元銅山王。戦争と政変で財産を失い、日本の辺鄙な山中に隠棲して再起を図るが、事業の失敗を苦に自殺する。

人物相関5
柳田石橋ジーナ恋愛

互いに惹かれていたが、柳田が優柔不断で想いを告げずに別れた

柳田石橋スパセニア恋愛

互いに惹かれていたが、柳田が優柔不断で想いを告げずに別れた

石橋スパセニア石橋ジーナ対立

柳田を巡る恋敵として嫉妬し、最終的に射殺する

石橋弥七郎石橋ジーナ家族

父親

石橋弥七郎石橋スパセニア家族

父親

舞台

時代背景

昭和20年代前半

場所

東京の邸宅および長崎県南高来郡の東水の尾(雲仙・小浜周辺の山中)

日本

テーマ
  • 優柔不断な選択が招く取り返しのつかない悲劇
  • 戦争と政変による富豪一家の数奇な運命と没落
  • 死者の愛憎と亡霊の存在の証明
キーワード
混血児ユーゴスラビアウォーターシュート(溝渠)結核亡霊拳銃