あらすじ
妻を亡くした小説家の捨三は、不幸な境遇にありながら宿屋で創作活動にふける女性・栄子を頻繁に見舞うようになる。栄子は過去に幸福な結婚生活を送っていたが、破綻と同棲の失敗を経て身を持ち崩し、捨三を「先生」と慕って頼っていた。捨三は彼女から聞いた話をもとに小説を書き、その原稿料を彼女の生活費として手渡す。栄子は当初遠慮するものの、捨三の厚意を受け入れる。その後、栄子は捨三の家にも出入りし、幼い娘の梅子とも親密になる。ある日、栄子は捨三から受け取った金で、過去の同棲時代に質入れしていた自分の着物を請け出しに行く。宿屋の部屋に持ち帰られた色鮮やかな小袖や帯を広げながら、二人は栄子の過去の美しかった時代や失われた生活に思いを馳せる。栄子が請け出した着物の一部を捨三の娘に着せたいと申し出ると、二人は連れ立って捨三の家へと向かう。
登場人物2人
捨三すてぞう
守護者男性小説家知識人
役割主人公・師匠・導き手
妻を亡くしたばかりの作家。不幸な境遇にある栄子に同情し、原稿料を与えて生活の面倒を見るうちに彼女に淡い魅惑を感じるようになる。
栄子えいこ
没落者女性その他
役割恋愛対象・犠牲者・触媒
幸福な結婚生活や同棲の失敗を経て身を持ち崩し、宿屋で創作活動をしながら暮らす女性。裏表のない性格で捨三を慕い、精神的・経済的に依存している。
人物相関2件
捨三栄子恋愛
同情から庇護欲と淡い好意を抱く相手
栄子捨三師弟
「先生」と慕い、物質的・精神的な支援を受ける恩人
舞台
時代背景
大正時代
場所
東京の宿屋および捨三の家周辺(牛込など)
国
日本
テーマ
- 不幸な境遇の女性への同情から生じる男女の淡い情愛
- 過去の幸福から転落し、自らの弱さと運命に翻弄される女性の悲哀
- 物質的な援助を通して縮まる心理的な距離
キーワード
原稿料宿屋質物着物同栖結婚生活