レ・ミゼラブル

豊島 与志雄

青空文庫で読む
近世海外フランス小説
道徳・倫理階級・貧富権力・反逆愛・恋愛
あらすじ

19年の徒刑を終えて出獄したジャン・ヴァルジャンは、世間の冷酷な扱いに絶望していたが、ミリエル司教の深い慈悲に触れて改心し、正しい人間として生きることを誓う。彼は名をマドレーヌと改め、工場を興してモントルイュ・スュール・メールの市長にまで上り詰めるが、無実の男が自分の身代わりで裁かれようとしているのを知り、法廷で自らの正体を告白して再び徒刑囚となる。脱走後、彼は薄幸の女ファンティーヌに託された遺児コゼットを、悪辣なテナルディエ夫妻から救い出す。二人は追跡する警視ジャヴェルの目を逃れてパリの修道院に隠れ住み、ジャン・ヴァルジャンは彼女を愛情深く育て上げる。やがて美しく成長したコゼットは、王党派の祖父と決別して革命の理想に燃える青年マリユスと出会い、二人は深く愛し合うようになる。1832年のパリ暴動が勃発し、マリユスは秘密結社「ABCの友」の仲間たちと共に防寨での絶望的な戦いに身を投じる。ジャン・ヴァルジャンは愛するコゼットのために防寨へ赴き、重傷を負ったマリユスを背負ってパリの巨大な下水道を抜け、死地から彼を救出する。また、暴徒に捕らえられていたジャヴェルを密かに解放するが、法と慈悲の狭間で信念が崩壊したジャヴェルはセーヌ川に身を投げる。暴動後、マリユスとコゼットは祝福されて結婚する。ジャン・ヴァルジャンは自らが前科者であることをマリユスに告白して身を引くが、最後には誤解が解け、二人の深い愛情に看取られながら安らかにこの世を去る。

登場人物9
ジャン・ヴァルジャンジャンヴァルジャン
求道者
男性元徒刑囚、元市長その他

役割主人公・家族

一片のパンを盗んだために19年間の徒刑生活を送った男。ミリエル司教の慈悲に触れて改心し、以後は他者のために自己を犠牲にし続ける過酷で気高い贖罪の人生を歩む。

ミリエル司教ミリエルシキョウ
知者
男性75ディーニュの司教宗教家

役割師匠・導き手・触媒

限りない慈悲と寛容の心を持つ正しい人。社会から見捨てられたジャン・ヴァルジャンを人間として扱い、その魂を救済する。

ファンティーヌファンティーヌ
犠牲者
女性女工、娼婦労働者

役割犠牲者・家族

若き日に過ちを犯し、娘コゼットを育てるために自らのすべてを犠牲にして底辺へ転落していく悲運の女性。

コゼットコゼット
凡人
女性その他

役割恋愛対象・家族

ファンティーヌの遺児。テナルディエの下で虐待されていたが、ジャン・ヴァルジャンに救い出されて修道院で清らかに育ち、のちにマリユスと恋に落ちる。

ジャヴェルジャヴェル
狂信者
男性警視官僚

役割敵役・対照キャラ

法と秩序を絶対の正義と信じて疑わない厳格な警察官。ジャン・ヴァルジャンを執拗に追跡するが、彼に命を救われたことで自らの信念が崩壊し、絶望に陥る。

マリユスマリユス
反逆者
男性弁護士、学生学生

役割恋愛対象・協力者

王党派の祖父と衝突して家を飛び出し、亡き父の想いを継いで革命を志す青年。コゼットに深く恋焦がれ、暴動の防寨で死を覚悟した戦いに身を投じる。

テナルディエテナルディエ
悪党
男性50宿屋の主人、のち強盗商人

役割敵役

金銭のためならいかなる悪事も厭わない狡猾で貪欲な男。コゼットを虐待し、のちにジャン・ヴァルジャンを罠にかけようと暗躍する。

ガヴローシュガヴローシュ
道化
男性その他

役割協力者・犠牲者

テナルディエの息子だが家から見放され、パリの街頭で生きる快活な浮浪児。暴動の防寨で明るく戦い、銃弾の雨の中で命を落とす。

アンジョーラアンジョーラ
英雄
男性22学生学生

役割協力者

秘密結社「ABCの友」の首領。革命と共和の理想に命を捧げる高潔で冷徹な美青年であり、防寨での戦いを最後まで指揮する。

人物相関8
ミリエル司教ジャン・ヴァルジャン師弟

ジャン・ヴァルジャンの魂を神に捧げ、彼が正しく生きるきっかけを作った恩人

ジャン・ヴァルジャンコゼット家族

ファンティーヌの遺言を果たし、血の繋がりはないが深い愛情で守り育てる養父

ジャヴェルジャン・ヴァルジャン対立

法律を絶対視し、前科者であるジャン・ヴァルジャンを生涯にわたって執拗に追い続ける

マリユスコゼット恋愛

互いに一目惚れし、障害を乗り越えて結婚に至る恋人同士

ジャン・ヴァルジャンマリユス家族

コゼットを愛するマリユスを防寨から命懸けで救出し、二人の結婚を助ける

テナルディエジャン・ヴァルジャン対立

金銭目的でジャン・ヴァルジャンを誘拐・恐喝しようとする因縁の敵

アンジョーラマリユス友人

政治的意見を闘わせつつも共に防寨で戦う革命の同志

ガヴローシュテナルディエ家族

実の親子であるが、愛情を受けずに捨てられ、路上で暮らしている

舞台

時代背景

1815年から1832年にかけて

場所

フランスのパリ、ディーニュ、モントルイュ・スュール・メール、モンフェルメイュなど

フランス

テーマ
  • 社会の底辺で苦しむ人々の悲惨さと魂の救済
  • 法による処罰と良心による贖罪の葛藤
  • 革命を通じた人間性の解放と進歩
  • 自己犠牲と無私の愛の崇高さ
キーワード
徒刑囚銀の燭台黄色の通行券防寨(バリケード)下水道革命暴動