流転

山下 利三郎

青空文庫で読む
昭和前期関西日本小説
自我・正体美・芸術
あらすじ

霙の降る夜、若き小説家の小村は、みすぼらしい放浪者を哀れんでカフェに招き入れる。放浪者は、愛する女性を殺されたうえに友人に裏切られ、無実の罪で10年間服役したという数奇な身の上話を語った。小村はすっかり感銘を受けて金を渡し、その話をそのまま自分の小説として発表して原稿料を得る。しかし後日、一通の手紙が届き、あの放浪者の正体が小村の尊敬する大作家・垂水洋鵝であったことが判明する。悲劇的な話は彼が即興で語った完全な作り話であり、小村は大先輩の芝居にまんまと騙されていたことに気づき、赤面して涙を流すのだった。

登場人物4
小村静雄こむらしずお
道化
男性小説家知識人

役割主人公

若き小説家。みすぼらしい放浪者の話を真に受けて自らの小説の題材にするが、相手が尊敬する大先輩の作家であったことを知り赤面する。

垂水洋鵝たるみようが
道化
男性小説家知識人

役割語り手・触媒

小村が尊敬している高名な作家。酔狂で友人の作業服を着て街を彷徨っていた際、小村に呼び止められ、即興で悲劇的な身の上話をでっち上げた。

蕗子ふきこ
犠牲者
女性

役割恋愛対象・犠牲者

垂水洋鵝が語った作り話の中に登場するヒロイン。何者かに首を絞められて殺害されたという設定の女性。

中谷なかたに
悪党
男性

役割敵役

垂水洋鵝が語った作り話の中に登場する男。主人公の恋敵であり、不利な証言をして主人公を罠にはめたとされる。

人物相関3
小村静雄垂水洋鵝同僚

小村が尊敬する小説家の大先輩だが、小村は彼をただの放浪者と勘違いして哀れんでいた

垂水洋鵝蕗子恋愛

洋鵝が即興で語った作り話の中での恋人

垂水洋鵝中谷対立

洋鵝が即興で語った作り話の中での恋敵

舞台

時代背景

昭和初期の冬

場所

大阪のカフェ、道頓堀周辺

日本

テーマ
  • 虚構と現実の交錯
  • 作家の悪戯心と業
  • 若き表現者の純真さと滑稽さ
キーワード
放浪者カフェ小説手紙作り話