新体詩家の眞田保雄は、後進を育成するために多額の借金を背負い、困窮した生活を送っていた。妻の美奈子は有名な歌人であり、身を粉にして働きながら家計を支えているが、現在五人目の子供を妊娠中であった。保雄は状況を改善するため、発行していた雑誌を百号で廃刊にし、郊外の大崎村から市内の麹町区へと引っ越す。新居で心機一転を図ろうとしていた矢先、保雄が土地を買い占めて大儲けしたという新聞の根拠のない噂を信じ込んだ高利貸の山田が、執達吏の鈴木達彌を連れて家に押しかけてくる。執達吏は保雄の父の遺品である書籍から、妻がやっとの思いで手に入れた箪笥、夫婦のわずかな衣類、さらには子供たちの服やこれから生まれてくる赤ん坊の産着に至るまで、容赦なく差し押さえていく。美奈子が泣き崩れる中、無邪気な幼い息子たちは訪ねてきた客に向かって「新聞社が差押えに来た」と話し、保雄は子供たちを叱る気力すら失うのだった。
役割主人公
後進の育成や雑誌発行のために多額の借金を背負った新体詩家。世間からは誤解され、無責任な悪評を立てられている。
役割家族・協力者・犠牲者
保雄の妻で有名な歌人。身を粉にして執筆や和歌の添削を行い家計を支えており、現在五人目の子供を妊娠している。
役割家族
保雄の長男。貧乏や差押えに慣れきっており、客に無邪気にその様子を話してしまう。
役割家族
保雄の次男。兄とともに差押えの状況を気にかけることなく遊び半分で捉えている。
役割脇役
東京区裁判所の執達吏。職務として淡々と真田家の家財や衣類を差し押さえる。
役割敵役
保雄に金を貸している高利貸。新聞の根拠のない噂を信じ込み、借金を取り立てるためにやって来る。
妻
長男
次男
保雄を追及する債権者
保雄の財産を差し押さえる執行官
時代背景
明治時代後期
場所
東京市内の麹町区の新居(以前は大崎村)
国
日本
- 芸術家の理想と現実の生活との乖離
- 家族を巻き込む貧困の悲惨さ
- 世間の無責任な風評がもたらす暴力