負けない少年

吉田 甲子太郎

青空文庫で読む
不明海外日本小説
道徳・倫理成長・変化権力・反逆
あらすじ

北極海に面したアラスカのエスキモーの村で、13歳の少年キーシュは母親と共にみすぼらしい雪小屋で貧しく暮らしていた。彼の父はかつて村のために命を落とした立派な狩人だったが、村人はその恩を忘れ、キーシュ母子には骨ばかりの古い肉しか与えていなかった。ある日、不公平な扱いに怒ったキーシュは寄合で大人たちに抗議し、自ら一人で狩りをして皆に公平に肉を分けると宣言する。大人たちは彼を馬鹿にするが、キーシュはたった一人で氷原へ赴き、数日後に見事な熊を仕留めて帰還する。その後も次々と獲物を持ち帰り、弱い者にも公平に肉を分配したため、彼は村人から深く尊敬されるようになり、立派な雪小屋も建ててもらう。しかし、子供が一人で大きな熊を倒すことを不審に思った大人たちは、狩りの秘密が魔法ではないかと疑い、若者のビムとバウンに後をつけさせる。二人は、キーシュが熊に奇妙な丸い球を飲ませて苦しませている光景を目撃し、村へ報告する。寄合の席で真実を問いただされたキーシュは、両端を尖らせた鯨髭を丸め、鯨の脂肉で包んで凍らせた手製の罠であることを明かし、魔法ではなく自らの「頭の力」であることを証明する。知恵と勇気を示したキーシュはやがて村の頭となり、生涯にわたって村人を飢えから救い続けた。

登場人物5
キーシュ
英雄
男性13狩人

役割主人公

かつて村のために命を落とした立派な狩人を父に持つ少年。大人たちの不公平に立ち向かい、独自の知恵と工夫を用いて村を飢餓から救う。

キーシュの母親
犠牲者
女性

役割家族

夫を亡くした後に村人から忘れ去られ、息子と共にみすぼらしい雪小屋で貧しい生活を強いられていたが、息子の活躍によって村で最も尊敬される存在となる。

村の頭
支配者
男性村の長

役割脇役・対照キャラ

村の寄合を取り仕切る人物。最初はキーシュの主張を子供の生意気な口答えとして軽視していたが、後に彼の圧倒的な狩りの実力を認める。

ビム
求道者
男性狩人

役割触媒・脇役

魔法使いではないかと疑われるキーシュの狩りの秘密を探るため、村の頭の命令で彼の後をつけ、その驚くべき狩りの手法を村人に報告する若者。

バウン
求道者
男性狩人

役割触媒・脇役

ビムと共にキーシュの狩りを監視し、彼が熊に不思議な球を飲ませて内臓から苦しめるという真実を目撃して村へ伝える若者。

人物相関3
キーシュキーシュの母親家族

母親思いの息子であり、狩りの成功によって母に居心地のよい家と尊敬をもたらす

キーシュ村の頭対立

不公平な肉の分配をめぐって寄合で公然と抗議し、反発した相手

村の頭ビム主従

キーシュの秘密を探るための密偵として派遣を命じる関係

舞台

時代背景

時代不詳

場所

北極海にのぞんだアラスカのエスキモーの村と氷原

アメリカ

テーマ
  • 知恵と工夫による困難の克服
  • 理不尽な扱いに対する実力での証明
  • 弱者への公平な富の分配
キーワード
エスキモー雪小屋狩り北極熊寄合鯨髭